「ライチ☆光クラブ」

つり下がる人体。飛び散る内臓。血しぶき。終盤の、絵に描いたようなカタストロフ!
飛び散る血糊を浴びながら「ああ、これは私がずっと見たかったものだ」と思いました。幼いころ書物で知って憧れたアングラな世界。時代的にも年齢的(金銭的)にも現物に触れる事は叶わなくて、憧れていた事すら忘れるくらいの年月が経った2012年に見られるなんて。夢のようでした。チケットが全然取れなくてどうしようかと思った…。なんとか取れた席は思いっきり血しぶきの飛んでくる席でみごと血まみれになった訳ですが、それすら幸せ。

全員素晴らしかったけどとくにジャイボが良かった!実在の男の子がやるのは難しい役だろうに、すっと立っている姿、目つき、表情。舞台にいる瞬間すべてジャイボで、視界に彼が入ってくるとどきどきした。最後の独白は切なくて、迫力にのまれて、涙がにじんだ。流れる血は彼の涙でもあり精液でもあり、すべてを果たして倒れていく姿は凄絶だった。
そしてカノンも素晴らしく印象的でした。少年達の完璧に作り込まれた演技、他の少女達の過剰に「演劇的」な演技に対し、カノンの演技のニュートラルなこと!もちろん演出もあるのでしょうが、これはおそらく時分の花。カノンのこのまっすぐさに対しても「ああ、今しか見られない良い物を見たなあ」と強く思いました。

さまざまな意味で、今年一番の演劇体験でした。