大奥10巻
![大奥 10 (ジェッツコミックス) 大奥 10 (ジェッツコミックス)](https://images-fe.ssl-images-amazon.com/images/I/51hQP8tzUgL._SL160_.jpg)
- 作者: よしながふみ
- 出版社/メーカー: 白泉社
- 発売日: 2013/10/28
- メディア: コミック
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赤面疱瘡が研究と実験によって駆逐されていくさま。
ワクチンが民間にひろがっていく可能性が示されたこと。
いままでメインキャラクター一人だったコミックスの表紙が、ワクチン開発に協力した人達複数*1であること。
理知の力とそこが切り開く自由と平等。そんな巻でした。
10巻で一番好きなのは伊兵衛と喜助*2の会話です。
それってよ 大変な事だと思わねえか?喜助
人が病に勝ったんだ 神でも仏でもなく人の力で…!!
伊兵衛にそう言われた喜助は、はっとした顔をします。指摘されてコトの意義を、真の価値を理解したことでそれが新たな希望、次への原動力となる。青沼を中心に行われたワクチン開発が理系的な理知だとしたら、ここで伊兵衛が披露したのは、分析の力であり、言葉の力であり、評論家的な仕事であり、いわば文系的な理知です。
すべてひっくるめて、10巻はあまりにも啓蒙主義的です。
前時代的に感じるくらい。でも、建前を脊髄反射的な感情で攻撃しても何もいいことはないく、やはり社会は建前でくるまれていないといけない。だから私は理知が勝ちすぎる傾向にあるよしながさんの物語を、この巻を素晴らしいと思う。