シンケンジャー47幕「絆」

最初から最後まで素晴らしかった。
良かった台詞書き出してたらキリがないくらい、殿と4人のやり取りの台詞すべてが深く、胸に突き刺さる。*1

役者の演技もとても良かった!基本やり過ぎ感のある十臓さんも今回ばかりは最期に相応しい迫力が普通に良く、丈瑠をかこむ4人の熱演にもぐっと来て、でも何より殿様!お前の真実はそれだと十臓に促されて放心したような魅入られた様な表情で剣を取るところ、4人の顔を見回して何かを確認しながら声をころして涙を流す所。特撮は新人さんが多いし求められる演技の質もちょっと特殊なので、技術的な所*2ははなから期待してない様な所があるんだけど、今回の松坂くんは掛け値なしで素晴らしかった。

お姫様のほうについてあげる源太も良かった。源太はもともと丈瑠個人との関係から出発しているので、丈瑠に「積み重なってきたものがちゃんとある」事の証拠にはあまりならないんですよね。残念ながら。だからそこは4人に任せて、代わりに一人で頑張っているお姫様に寄り添わせる。個人的な動機で動ける源太の強みと優しさの集大成のような良い流れ。


番組開始時は「殿と家臣」という関係には無理があるので、身分なんて関係なく仲間だぜ!という方向に行くのかなと思っていた。そしたら最初のクールは「4人が個人の能力と人柄で丈瑠を殿様として認める」→「丈瑠がその覚悟を引き受ける」という流れで落ち着いてしまった。その上下関係を保持するならば、丈瑠は本来の血筋じゃないという所以外に落としどころはないと思った*3

丈瑠を殿様として認めるか、という4人の葛藤は実質的には最初のクールで一度描かれていて(だから今回カジキの時の黒子さんが出てきた)、終盤の主眼は、むしろ丈瑠がそれをどう引き受けるか、という所。
これまで丈瑠自身についてはきわめて限定的な描写にとどめられていて、だから立場と構造の割に陰が薄いとか言われたりもした訳ですが*4、ここへ来て一気に物語上の主役に躍り出た。殿様だと思われているうちは空洞的で、本物じゃないと知れて本当の中心になった、ってのが面白いというか。ここまでの空洞的なあり方も伏線つーか演出というか。今回は戦闘のフォローにまわったけど、さてどういう経緯で「お前たちの命、改めて預かる!」に至るのか。ああもうワクワクする!


予告のことはが凛々しくて良いなあ。お姫様は退場しちゃうのかな。出来れば共闘して欲しかった所だけど。流さん、今回はところどころため口だったけど今後どうするんだろ。今度どうするといえば、流さんとことはは丈瑠をどう呼ぶんだろ。

*1:全部好きだけどことはの「嘘じゃないと思います。ずっと一緒に戦ってきた事も。お屋敷で楽しかった事も全部」が凄く好き。ここで「お屋敷で楽しかった事」を持ち出せるのはことはならではだと思う

*2:いわゆる「演技力」

*3:血筋ですべてが決まるというのは現代的ではない

*4:上下関係が厳密に保持されている状態だったら殿様が活躍のメイン・他は引き立て役という構造になりそうなものなのに、実質的に群像劇だった。