「くいいじ」

くいいじ 上巻

くいいじ 上巻

くいいじ 下巻

くいいじ 下巻

やっと単行本になったよー!
連載中から毎回楽しみにしていたモヨコ先生の食べ物エッセイ。まさかの箱入り。どこのインタビューで読んだか忘れたけど、箱はコストが高いのもあって敬遠され、今はもうどんどん作れる所がなくなってきているとの事。寂しい話です。その箱含め、装幀がとても可愛い。本の形態や表紙の紙の感じ、レイアウト、小見出しの入れ方、レトロ可愛い感じなので、可愛すぎず昭和の本のような雰囲気もある。その辺を意識してなんだろうけど「食べ物連載」ってタイトルも良いよね。

取り上げられている食べ物が美味しそうとか読んでて食べたくなったとかより、モヨコ先生の食事に対する執着心がただただ印象に残る。つまり本当にタイトル通りって事なんだけど。食に対する態度や描写の方向性なんかはよしながふみとどうも似ている。高級品や美食を追求する訳じゃないけど、一回一回のご飯にかける意気込みが並外れている。食にまつわるエピソードはきっといくらでも覚えている。この本で割合印象に残るのは、小さい頃のエピソードだ。食べたいものが自分の自由にならない不自由さに苦しみ、どういう料理なのかどういう食材なのか知識が足りず不可思議なイマジネーションを働かせていた頃の事。よく覚えてるなあと、ようするにそんな幼い頃から食べ物に興味津々だったんだなーという所に感心する。よしながさんと違うのは、モヨコ先生は「料理」という行為にはそこまでこだわってない所かな。少なくともこの本を読む限りでは。でもその辺は連載形態なんかも関係してるのかもしれない。

執着心がテーマだけど卑しい感じはしないのはあっけらかんとしてるからかな。行動にしても書きぶりにしても、情熱の発露の仕方がとてもストレート。「!!」というエクスクラメーション二つ並びの文章が多いのがマンガと一緒で可笑しい。